住所の「四丁目」と「4丁目」はどちらが正しい?司法書士が解説する正式な書き方

登記や契約書、住民票などで住所を書くときに、「4丁目」と「四丁目」どちらが正しいのか迷ったことはありませんか。
一見どちらでも同じように思えますが、実は公的書類では明確なルールがあります。
司法書士として日々登記申請や契約書を扱う立場から、住所表記の正式な書き方とその理由をわかりやすく解説します。

目次

「丁目」は漢数字、「番地」「号」はアラビア数字が正解

まず結論から言うと、住所は次のように書くのが正式です。

例:兵庫県西宮市●●町四丁目5番12号

のように、「丁目」は漢数字、「番地」や「号」はアラビア数字で表記します。
このルールには、きちんとした法的・行政的な根拠があります。

住所の構造を知ると理由がわかる

日本の住所は、都道府県 → 市区町村 → 町名 → 丁目 → 番地 → 号 の順に成り立っています。
このうち、「丁目」までは地名の一部であり、「番地」「号」は地名の中での位置を示す番号です。

つまり、「四丁目」は地名(固有名詞)なので文字で表し、「5番12号」は番号なので数字で表す、という明確な区分があります。
地名は言葉で表現するのが基本、番号は数字で表すのが基本、という考え方です。

法律と行政ルールにもとづく正式な表記

このルールは、住居表示に関する法律(昭和37年法律第119号)と、各自治体の住居表示実施要綱に基づいて定められています。
国土交通省の「住居表示実施要領」でも、次のように明記されています。

「丁目は漢数字を用い、番および号は算用数字(アラビア数字)を用いること。」

つまり、「丁目」は漢数字で、「番地・号」はアラビア数字というのが全国共通の原則です。
西宮市や神戸市、東京都などでも同じ方針で運用されています。

登記・住民票・契約書では漢数字が正式

司法書士の実務で特に注意が必要なのは、登記申請や契約書、遺言書などの正式文書に記載する住所です。
これらの書類では、住民票や登記事項証明書に記載されている住所と一字一句一致していなければなりません。

たとえば住民票に「西宮市●●町四丁目」と記載されているのに、契約書に「4丁目」と書いてしまうと、形式上は別住所と扱われる場合があります。
このような場合、登記では補正を求められることもあります。

ですから、公的書類では必ず住民票や登記簿に合わせて漢数字の丁目表記を使うことが大切です。

一方で、地図やWeb上では「4丁目」が一般的

Googleマップや不動産サイトなどでは、「4丁目」「5丁目」とアラビア数字で表記されているのをよく見かけます。
これは、読みやすさや検索性を重視したための表記です。
住所検索やナビゲーションではアラビア数字のほうがシステム的に扱いやすく、視覚的にもわかりやすいためです。

ただし、これらはあくまで便宜上の表記であって、法的な正式名称とは異なります。
登記・契約・行政文書では、必ず漢数字に戻して記載しましょう。

番地や号がアラビア数字になる理由

では、なぜ「番地」や「号」だけがアラビア数字で書かれるのでしょうか。
これには、以下のような実務上の理由があります。

まず、番地や号は土地や建物を識別する「番号」であり、もともと地図や登記簿上で数字として管理されているものです。
たとえば「5番」「12号」は、住所というより座標に近い考え方です。

また、漢数字の「一」「二」「三」「七」などは手書きでは誤読されやすく、数字のほうが見やすく正確に伝わります。
役所や郵便局、法務局のデータベースでも、番地や号はすべて数字で登録されています。

このため、「四丁目5番12号」というように、丁目までは文字、番地以下は数字という形が最も合理的なのです。

書類作成のときに気をつけるポイント

登記申請書や契約書、委任状、遺言書などに住所を記載する際は、必ず公的書類と同一の表記を確認しましょう。
住民票、印鑑証明書、登記事項証明書のいずれも、「丁目」は漢数字で記載されています。

また、不動産登記簿における「所在」は住居表示ではなく地番で表されており、こちらも必ずアラビア数字を使用します。
たとえば「西宮市●●町四丁目12番3」といった形です。
逆に「十二番三号」と漢数字で書いてしまうと、登記では補正の対象になることもあります。

書面上は小さな違いですが、法務局では形式の統一が厳格に求められるため、注意が必要です。

日常では使い分けが大切

このように、「丁目」は漢数字、「番地・号」はアラビア数字というルールは、公的書類では必ず守る必要があります。
しかし、普段の生活やWebでの住所入力、地図検索などでは「4丁目」と書いても問題はありません。

つまり、次のように使い分けるのが実務的です。

  • 公的書類・登記・契約書など:四丁目(漢数字)
  • 案内文・地図・Webサイトなど:4丁目(数字)

この違いを知っておくと、書類の正確さがぐっと上がります。

まとめ:地名は文字、番号は数字で覚える

住所の書き方で迷ったら、
「地名は文字、番号は数字」
というシンプルな原則で考えると覚えやすいでしょう。

つまり、「丁目」は地名なので漢数字で、「番地・号」は番号なのでアラビア数字で書く。
このルールを守るだけで、登記・契約書・住民票などすべての場面で統一がとれます。

住所は小さな違いでも、登記や契約の世界では重要です。
住民票や登記事項証明書に記載された表記をよく確認し、正確に記載することを心がけましょう。

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