「進化論には矛盾がある」は本当?科学の誤解と「変化に適応する」生き方【司法書士コラム】

こんにちは。 シアエスト司法書士・行政書士事務所の代表、今井康介です。

普段は相続や登記といった法律のお話をしていますが、今日は少し趣向を変えて、「進化論」についてお話ししたいと思います。

「進化論には矛盾があるのではないか?」
「人は本当にサルから進化したのか?」
「進化の途中段階を示す『中間の化石』がないのはおかしい」

こうした疑問は、昔から多くの人が感じてきたものです。 実は、こうした「過去の常識」と「新しい発見」の間で揺れ動く姿は、科学の世界だけの話ではありません。

私が身を置く法律や相続の世界でも、 「昔はこうするのが当たり前だった」という古い常識と、 「時代が変わって、そのやり方では通用しなくなった」という新しい現実の間で、多くの方が悩まれています。

生物が長い時間をかけて環境に適応してきたように、私たちもまた、時代の変化に合わせて考え方や備えを「進化」させていく必要があります。

この記事では、進化論にまつわるミステリーを紐解きながら、変化の激しい現代社会で私たちがどう生き、どう備えるべきかについて、ご一緒に考えてみたいと思います。

目次

1. 「進化論の矛盾」と言われる3つの誤解

150年以上前にダーウィンが提唱した進化論。 長い間、多くの人々が「直感的に信じられない」「矛盾があるのでは?」と感じてきました。

しかし、その後の科学の進歩により、かつての疑問の多くは「誤解」であったことが分かっています。ここでは代表的な3つのポイントを整理します。

誤解①「進化は見えない・再現できない」

「進化なんて実際に見たことがないから、信じられない」

こう感じるのは自然なことです。しかし、進化は「過去の推測」だけではありません。

現代の科学では、進化は「現在進行形で観察できる現象」として扱われています。 例えば、アメリカの研究(ミシガン大学)では、大腸菌を何万世代にもわたって培養し続けた結果、新しい栄養素を消化できる能力が「突然変異によって自然に生まれた」ことが確認されています。

進化は一晩で起きる魔法ではなく、小さな変化が積み重なって起きる現実の現象なのです。

誤解②「中間の化石がないのでは?」

「サルと人、魚とカエルの間をつなぐ『中間の化石』がないじゃないか」という指摘もよく聞かれます。

しかし実際には、ミッシングリンク(失われた鎖)を埋める化石は次々と発見されています。

  • ティクターリク: 魚類と両生類の特徴を併せ持ち、陸に上がる過程を示す化石
  • 始祖鳥: 恐竜と鳥類の中間的な特徴を持つ化石

化石が残ること自体が稀な偶然ですが、進化の大きな流れを示す証拠は、すでに十分に揃っているのが現状です。

誤解③「目のような複雑な器官がいきなりできるわけがない」

「目は完成された状態でないと見えない。進化の途中の『半分の目』なんて役に立たないから、自然にできるはずがない」という疑問です。

これも、段階的な改良で説明がつきます。

  1. 最初は単に「光を感じる細胞」があるだけ(明暗がわかる)
  2. その部分が「くぼむ」ことで、光の来る方向がわかるようになる
  3. そこに「膜(レンズ)」ができることで、像を結べるようになる

このように、「ゼロからいきなり完成品ができる」のではなく、「不完全でも、ないよりはマシ」な段階を経て、少しずつ機能が高まっていったことが分かっています。

2. 矛盾ではなく「情報のアップデート」が必要だった

このように、「進化論の矛盾」と言われていたものの多くは、実は矛盾ではなく、当時の私たちの知識や情報が不足していただけでした。

かつての常識が、新しい化石の発見やDNA解析技術の進歩によって、「より正確な理解」へと書き換えられてきたのです。 進化論は、150年前の古い教えを頑なに守るものではありません。新しいデータを取り入れ、修正を繰り返しながら、「今も進化し続けている理論」なのです。

これは、科学の世界に限った話ではありません。

ここがポイント

重要なのは「昔聞いた話」や「古い知識」で思考を止めず、常に情報をアップデート(更新)し続けることです。

3. 【視点の転換】私たちの「相続・法律」も進化している

さて、ここからが本題です。 「環境の変化に合わせて変わっていく」というプロセスは、生物だけのものではありません。

私たちが暮らす社会や、それを規律する「法律」、そして「相続の常識」もまた、時代の環境に合わせて常に進化しています。

もし、皆さんが「相続なんて、親が亡くなってから考えればいい」「うちは長男が何とかするだろう」という数十年まえの感覚をお持ちだとしたら、少し注意が必要です。 なぜなら、私たちが生きている「環境」自体が、かつてとは激変しているからです。

昔の常識(昭和のモデル)

かつての日本は、以下のような環境が一般的でした。

  • 家督相続の意識: 「家や墓は長男が継ぐもの」という暗黙の了解があった。
  • 家族の距離感: 親子の同居や近居が多く、日常的な支え合いが可能だった。
  • 寿命: 平均寿命は70代で、老後の期間はそれほど長くなかった。

この環境下では、遺言書がなくても、あるいは口約束だけでも、家族間の話し合いで何とかなるケースが多かったのです。

今の現実(令和の環境)

しかし、現代の環境はどうでしょうか。

  • 権利意識の高まり: 「法定相続分(平等)」の権利を主張するのが当たり前になった。
  • 核家族化・遠距離: 子どもは都会へ出て別居し、実家の管理や介護が困難に。
  • 人生100年時代: 長生きする分、「認知症」になって資産が凍結するリスクが激増した。

このように環境が激変しているにもかかわらず、「昔ながらのやり方」で対応しようとすると、必ずどこかで無理が生じます。これが、現代の相続トラブル(争族)の正体です。

4. ダーウィンに学ぶ「生き残るための備え」

進化論の文脈でよく引用される言葉に、次のようなものがあります。

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」

(※この言葉自体はダーウィンの著作にはなく、後世の解釈によるものという説が有力ですが、進化論の本質を見事に突いた言葉として広く知られています。)

これは、生物の世界だけでなく、私たちの人生設計にもそのまま当てはまります。

法律の世界での「適応」とは?

現代という新しい環境において、私たちはどのように「適応」すればよいのでしょうか。

  • 何も対策しない(古い常識のまま)
    「家族だから揉めないはず」「親が元気なうちは大丈夫」と、変化した環境(権利意識の変化、認知症リスク)を直視せずにいると、いざという時にトラブルや「争族」、資産凍結といった事態に陥りやすくなります。これは、環境変化に対応できずに淘汰されてしまうリスクと言えます。
  • 環境に合わせて対策する(進化)
    「遺言書」で意思を明確にする、「家族信託」で認知症に備える、「任意後見」で老後を守る。 このように、現代の環境に合わせた新しいツール(法律制度)を使いこなすことで、ご自身の資産と想いを、次の世代へ確実に繋ぐことができます。

結論:変化を恐れず、準備を始めること

「進化」とは、決して難しいことではありません。 現状を知り、少しだけやり方を変えてみること。それが、あなたとご家族を守るための「適応」の第一歩になります。

まとめ:知識を更新し、変化に備える

進化論の「矛盾」といわれた謎が、科学の進歩と新しい知識によって解明されてきたように、皆様が抱えている相続や老後の不安も、「正しい法律知識」と「専門家の知恵」を取り入れることで、すっきりと解消することができます。

私たち人間は、生物としての進化を自分で選ぶことはできません。 しかし、「自分の人生や家族を守るための備え(法的な進化)」は、自分の意思で選ぶことができます。

「うちは昔ながらのやり方でいい」 「まだ元気だから関係ない」

そう思って思考を止めてしまうのではなく、ぜひ一度、今の時代の環境に合った備えについて考えてみてください。 私たちシアエスト司法書士事務所が、その「進化」の第一歩を全力でサポートさせていただきます。

代表司法書士・行政書士 今井 康介

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