成年後見の費用が不安な方へ|家族信託との違いと“後悔しない選び方”を司法書士が解説

親が年齢を重ねてくると、家族の中には少しずつ、静かな変化が生まれます。

「元気なうちに、自分のことは自分で決めておきたい」
「けれど、いざというときに子どもへ負担をかけたくない」

このとき、家族の多くが心のどこかでつぶやきます。

「……成年後見制度を使うしかないの?」

そして、そのすぐ横には、もっと切実で正直な気持ちがあります。

「専門職の後見人にお願いしたら、費用がずっとかかるのでは……」

これはめずらしい悩みではありません。
実務の現場でも、ご家族がまず口にする“リアルな不安”です。

この記事では、こうした感情に寄り添いながら、

・なぜ後見制度を避けたいと思うのか
・家族信託がどんな場面で力を発揮するのか
・逆に役割を果たせない場面はどこなのか

を、感情と制度の両面から整理します。

西宮市で高齢の親を支えるご家庭が、状況に合わせて判断できるよう、実務でよく相談されるポイントも踏まえてまとめました。

目次

1. なぜ「成年後見は避けたい」と感じるのか

制度の説明より先に、“気持ちの部分”に触れておきたいと思います。

成年後見制度は、法律に基づく強い保護を与えてくれる仕組みです。
しかしその一方で、実際に利用すると次のような負担が続きます。

・家庭裁判所への定期的な報告書作成
・領収書の保存・整理
・財産の使い道に厳格な制限
・専門職後見人の報酬(月2〜5万円ほど)

とくに「費用が長期間かかり続けるかもしれない」という不安は、家族の判断を左右する大きな理由です。

「これが10年続いたら、報酬だけでも100万円以上では……」
「家族でできる方法があるなら、そちらを優先したい」

こう考えるのは当然です。
制度そのものを否定する必要はありませんが、本当に必要なのかを考えることは、むしろ賢明です。

2. 家族信託は“後見制度の代わり”ではなく、「家族の事情に合わせられる設計図」

家族信託について、しばしばこう誤解されます。

「後見の代わりになる便利な制度なんでしょ?」

しかし実際にはもっと本質的です。

家族信託
→ 家族の価値観・状況に合わせて“設計できる”カスタム型の仕組み

成年後見制度
→ 法律の枠に沿って“守るための制限をかける”仕組み

自由度・柔軟性・費用構造が根本的に異なります。

後見制度の場合、本人保護の観点から、

・積極的な資産運用
・家庭裁判所の許可なく自宅を売却
・相続税対策

こうしたことは、原則認められません。

この“融通のきかなさ”が、制度を避けたい理由としてよく挙げられます。

3. 家族信託が本当に役に立つのはどんな場面?

実務の現場で特に喜ばれるのは、次の3つです。

●(1)元気なうちに「財産管理の方針」を家族で決めておきたい

家族信託は、本人の意思を明確に残せる仕組みです。

・誰に管理を任せたいか
・どの財産をどの目的で使ってほしいか
・実家を売る基準は何か
・介護費用の確保ラインはどこか

これは、後見制度では扱えない領域です。

●(2)不動産が絡むケース(とくに西宮市では重要)

西宮市では実家や土地を持つ家庭が多く、不動産がカギになります。

「空き家になったらどうする?」
「施設費用に使うために売れる?」

後見制度では売却のハードルが高い一方、家族信託なら事前に売却権限を託しておけるため、実務で非常に重宝されます。

●(3)専門職後見人のランニングコストを避けたい

家族信託は、設計・契約に費用がかかるものの、開始後の毎月の費用はゼロにできます。

これは後見制度との大きな違いで、将来の安心感にもつながります。

4. 逆に、家族信託が“向かない”場面はどんなとき?

誤解を避けるため、ここは明確にしておきます。

●(1)すでに判断能力が低下している場合

信託は「契約」。
意思能力が必要です。

判断力の低下が進んでいる場合、後見制度しか選べないことがあります。

●(2)生活・医療・介護の意思決定を任せたい場合

家族信託は財産管理の仕組みであり、
身上保護(医療・介護の決定)には使えません。

・施設入所の手続き
・介護サービス契約の締結

これらは後見制度の領域です。

なお、配偶者や子どもであれば、本人に代わって契約することを施設などが認める場合がありますが、法的には権限がないため、将来のトラブルに発展する可能性もあります。

5. 家族信託を検討する前に知ってほしい“3つの事実”

実務で特に重要なポイントを整理します。

【真実①】

家族信託は「自由にできる」ほど、実務の設計力が問われる
——銀行・不動産・税務、すべてが連動しないと機能しません。

【真実②】

“誰が受託者になるか”で、信託の性質は別物になる
——距離、関係性、負担感。契約書で解決できない部分があります。

【真実③】

家族信託は“家族の価値観を揃えるプロセス”でもある
——制度を選べるのは、親が元気なうちだけです。

6. 家族信託と成年後見制度の比較(まとめ)

・自由度が高い → 家族信託
・法律的な保護が強い → 後見制度
・不動産の柔軟な処理 → 家族信託
・医療・介護判断の代理 → 後見制度
・ランニングコストを抑えたい → 家族信託
・すでに認知症が進んでいる → 後見制度

どちらが良いかではなく、家庭の状況によって答えは変わります。

7. 最後に

「成年後見は避けたい」という想いには、必ず理由があります。

・費用の不安
・手続きの複雑さ
・家族以外に財産管理を任せる抵抗感

どれも、とても自然な感情です。

制度選びに“正解”はありません。
ただし、間に合うかどうかというタイミングだけは存在します

この記事が、ご家族にとっての最初の一歩になることを願っています。

◆ 西宮市で家族信託・成年後見を検討される方へ

家族信託や成年後見のご相談では、制度より先に、「何が心配なのか」「どんな形が家族にとって安心か」を整理することが大切です。
当事務所では、そうした気持ちの部分も含めて、一緒に考えていくことを大切にしています。

・成年後見を使うべきか迷っている
・家族信託が自分たちに合うのか知りたい
・不動産や兄弟のこと、費用面の不安を整理したい

そんなお気持ちがあれば、どうぞ無理のないタイミングでご相談ください。
ご家族の状況に合わせて、安心できる形を一緒に探していきます。

代表司法書士・行政書士 今井 康介

西宮・芦屋・宝塚・尼崎エリアで司法書士・行政書士をお探しなら、シアエスト司法書士・行政書士事務所へお任せください。

相続・遺言・成年後見から不動産登記まで、幅広く対応いたします。 お客様の想いに寄り添い、わかりやすく丁寧なサポートをご提供します。

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