「母の物忘れが進んできた。そろそろ預金の管理も難しそうだし、成年後見制度を検討すべきか…」 そう考えたとき、多くの方が直面するのが「後見人への報酬」という壁です。
「毎月いくらかかるのか」「母の年金だけで払い続けられるのか」 こうした不安を解消するため、最高裁判所が発表した最新の統計データ(令和7年7月〜12月分)に基づき、専門職(弁護士・司法書士等)が後見人に選ばれた場合のリアルな報酬相場を詳しくお伝えします。
1. 報酬は「年額」で、ご本人の資産から支払われる
後見人の報酬は、月払いではなく「年額」で決まります。また、ご家族が負担するのではなく、ご本人の財産の中から支払われるのが原則です。
報酬額の最も大きな決め手は、本人が保有する「流動資産(現金、預貯金、有価証券)」の額です。
【専門職が後見人の場合の年間相場(付加報酬なし)】
調査結果によると、資産額に応じた報酬のボリュームゾーンは以下の通りです。
- 資産1,000万円未満: 報酬は年間20万円台(約74%〜81%がこの範囲)
- 資産1,000万円〜5,000万円未満: 報酬は年間30万円台(約54.0%がこの範囲)
- 資産1億円以上: 報酬は年間70万円台(約43.0%がこの範囲)
2. 報酬額を左右する「3つのポイント」
家庭裁判所は、以下の要素を総合的に判断して最終的な報酬額を決定します。
- 管理する財産の額: 預貯金などの流動資産が多いほど責任が重くなるため、報酬も段階的に上がります。
- 担い手の属性: 親族が務めるか、専門職(親族以外)かによって分布が異なります。
- 役割の種類: 成年後見人、保佐人、補助人の間で大きな差はありませんが、後述する「監督人」は低くなる傾向があります。
3. 「監督人」がつく場合の追加費用
後見人の業務をチェックするために裁判所が「監督人」を選任することがあります。この場合、後見人への報酬とは別に費用が発生します。
【専門職が監督人の場合の報酬目安】
- 資産5,000万円未満: 報酬は年額10万円台(約50%〜72%)
- 資産5,000万円以上: 報酬は年額30万円台(約45%)
4. 「特別な手続き」があった年は報酬が上がる
自宅不動産の売却や遺産分割協議、訴訟対応など、日常の管理を超える「特別の行為」があった場合、加算として「付加報酬」が認められることがあります。
今回の統計でも、資産1,000万円〜5,000万円未満のケースで「付加報酬」の求めがあった場合、報酬額は以下のように高額帯へ移動しています。
- 報酬は40万円台:32.2%
- 報酬は50万円台:17.4% (※「求め無し」の場合は30万円台が主流ですが、特別な事務があると40〜50万円台になる事例が増えています)
まとめ
成年後見制度のコストを予測する際の目安は以下の通りです。
- 資産が1,000万円未満なら: 報酬は年間20万円台。
- 資産が1,000万円〜5,000万円なら: 報酬は年間30万円台。
- 特別な手続きが発生した年: さらに10万〜20万円程度の報酬上乗せを想定。
維持コストをあらかじめ把握しておくことは、将来の安心に繋がります。ご家族の資産状況と照らし合わせ、検討の材料にしてください。
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【ご注意】 本記事のデータは最高裁判所事務総局家庭局「報酬に関する実情調査(令和7年7月〜12月分)」に基づく統計です。実際の報酬額は、個別の事務負担や事情を考慮して家庭裁判所の審判によって決定されるため、特定の金額を保証するものではありません

