「仲がいいから遺言はいらない」が一番揉める理由 — 西宮の司法書士が解説

「うちの子たちは仲がいいから、遺言なんて必要ない」——相続の現場でよく聞く言葉ですが、実際にこじれるのは、むしろ仲のよかった家族です。理由を動画で確認してください。

目次

こじれる原因は「仲の良し悪し」ではない

相続争いの原因は、性格や関係性ではなく、財産の構成と家族の事情にあります。とくに多いのが次のパターンです。

  • 分けにくい不動産しかない … 自宅や実家が財産の大半で、現金が少ないと、公平に分ける方法が見つからない
  • 介護・同居をした相続人がいる … 「自分は親の面倒をみた」という思いと、他のきょうだいの受け止めがずれる(寄与分の主張)
  • それぞれの配偶者が関与する … 当事者同士は冷静でも、周囲が口を出すと引くに引けなくなる
  • 生前贈与・学費などの偏り … 「あの子だけ家を建ててもらった」という特別受益の主張

これらは、仲がよくても起こります。むしろ「言わなくても分かってくれるはず」という遠慮が、話し合いを難しくすることもあります。

争いの約4分の3は、遺産5,000万円以下

「争族はお金持ちの話」というイメージがありますが、そうではありません。令和4年の司法統計によると、家庭裁判所で遺産分割の調停・審判が成立・認容された事件のうち、遺産額が1,000万円以下のものが約3分の1、1,000万円超5,000万円以下のものが約4割を占めています。あわせて約4分の3が5,000万円以下です。

自宅と少しの預金、という“普通の家”こそ、分けにくさから対立が起きやすいといえます。

遺言があれば、話し合い自体がいらなくなる

遺言で「誰にどの財産を相続させるか」を指定しておけば(遺産分割方法の指定)、相続人が分け方を協議する必要がなくなります。もめ事の種を、被相続人が生前に取り除いておけるのが遺言の最大の効果です。

ただし、特定の相続人に極端に偏った遺言は、他の相続人の遺留分(民法1042条。配偶者・子・直系尊属に保障された最低限の取り分)をめぐる争いを生みます。遺留分に配慮した配分にし、なぜそう分けたのかを「付言事項」で丁寧に説明しておくと、感情面のもつれを防ぎやすくなります。

よくある質問

きょうだい3人、仲もいいし、財産も自宅と預金だけです。それでも遺言は要りますか?

そのケースこそ遺言が効きます。自宅は分けにくく、誰が引き継ぐかで意見が割れがちです。「自宅は同居の長男、預金は長女と次男」など、具体的に決めておくと安心です。

親に「遺言を書いて」と言い出しにくいです。

「相続税や登記の相談で専門家に会ってみよう」という入り方だと切り出しやすくなります。ご家族一緒の初回相談も承っています。

一度書いた遺言は、あとで変えられますか?

いつでも書き直せます。新しい遺言を作れば、前の遺言の抵触する部分は撤回されたものとして扱われます(民法1023条)。状況の変化に合わせて見直すのが本来の使い方です。

遺言があれば、遺留分の争いも起きませんか?

遺留分は遺言でも奪えません。ただし、遺留分を侵害しない配分にしておけば、金銭請求のトラブルはほぼ防げます。設計の段階でご相談ください。

西宮・阪神間の遺言のご相談は、シアエスト司法書士・行政書士事務所へ

当事務所は阪急西宮北口駅から徒歩3分。西宮市を中心に、芦屋・宝塚・尼崎・神戸など阪神間で、遺言・家族信託・相続手続きのご相談を承っています。

「仲がいいうちに」こそ、家族構成と財産をお聞かせください。揉めない形をご提案します(TEL 0798-31-5930)。

出典・参考

  • 最高裁判所事務総局「令和4年 司法統計年報(家事編)」遺産分割事件の遺産の価額別割合
  • 民法907条(遺産分割)、民法1042条(遺留分)、民法1023条(前の遺言と後の遺言の抵触)
  • 民法904条の2(寄与分)、民法903条(特別受益)
代表司法書士・行政書士 今井 康介

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