直感や共感力も「知性」の一部。司法書士が考える、スピリチュアルと論理的思考のバランス

こんにちは。 シアエスト司法書士・行政書士事務所の代表、今井康介です。

皆さんは「法律家」や「司法書士」という言葉に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。 六法全書を片手に、法律の条文と理屈だけで物事を判断する、少し堅苦しくて冷たいイメージを持たれることが多いかもしれません。

確かに、法律実務において「論理的思考(ロジック)」は不可欠なものです。 感情だけで法律を曲げることは許されませんし、正確な論理がなければ、お客様の権利を守ることはできないからです。

しかし、それだけでお客様が抱える「本当の悩み」は解決できるのでしょうか?

実は、私が日々の相談現場で大切にしているのは、法律知識と同じくらい、「直感」や「共感」といった、目に見えない感覚です。

今回は、少し不思議に思われるかもしれませんが、科学的にも認められつつある「もう一つの知性」について、私の実体験を交えてお話ししたいと思います。

目次

1. 「頭が良い(IQ)」だけでは解決できない相続の現場

IQ(知能指数)の役割とは

法律家にとって、いわゆる「IQ(知能指数)」に相当する能力は、絶対に欠かせない基礎体力です。

  • 複雑な民法の条文を正確に解釈する
  • 不動産の権利関係をミスなく読み解く
  • 期限内に完璧な書類を作成する

これらはプロとして「できて当たり前」の領域であり、ここが揺らいでしまっては仕事になりません。お客様の財産を守るための「盾」として、論理的な思考力は必須です。

「正解」が「正義」とは限らない

しかし、論理的に「正しい答え」を出すことだけが、司法書士の仕事ではありません。 むしろ、論理だけで押し切ろうとすると、かえって事態が悪化するのが相続の現場です。

例えば、遺産分割の場面を想像してみてください。 法律には「法定相続分(法律で決まった取り分)」というルールがあります。

IQ型の思考だけで進めると、こうなります。

「法律では長男も次男も2分の1ずつです。だから、実家の土地も預金もきっちり半分に分けるのが『正解』です」

数字の計算としては、1円の狂いもなく完璧かもしれません。 しかし、そこには「長男が長年親の介護をしてきた」とか「次男は生前に多額の援助を受けていた」といった「感情の計算」が含まれていません。

「数字の計算は合っていても、感情の計算が合わず、家族の絆が壊れてしまう」

私が最も恐れているのは、法律論を振りかざした結果、このような結末を迎えてしまうことなのです。

2. 科学が解き明かす「知性」の多様性

ここで、知性に関する興味深い分類をご紹介します。

知性は一つではない

従来、「頭が良い」といえば、計算が早かったり記憶力が良かったりする「IQ(知能指数)」が高いことを指していました。 しかし、近年の心理学や脳科学の研究では、人間の知性はそれだけではないことが明らかになっています。

  • IQ(知能指数): 論理的に考え、実務的な問題を解決する力。
  • EQ(感情的知性): 他人の感情を読み取り、共感して良好な関係を築く力。
  • SQ(実存的知能): 「人生の意味は何か」「自分はどう生きたいか」といった、答えのない問いに向き合う力。

「スピリチュアル」は非科学的ではない

「スピリチュアル」という言葉を聞くと、少し非科学的で怪しいイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ここで言うスピリチュアルとは、幽霊や超能力のことではありません。 「目に見えないもの(故人の想い、家族の縁、人生の価値観)を大切にする感覚」のことです。

科学的な研究においても、こうした感覚を持つことは「思考停止」ではなく、むしろ「高度な知性の一種(実存的知能)」であると評価されています。

目に見える「数字(遺産額)」だけでなく、目に見えない「想い」も計算に入れることができる。 それこそが、AIには代替できない、人間ならではの「賢さ」なのかもしれません。

3. 司法書士が使う「直感」の正体

違和感という名の「アラート」

ご相談を受けている最中、「法律的には何の問題もない。書類も揃っている。それなのに、なぜかしっくりこない」と感じる瞬間があります。

これは、決してオカルトや超能力の類ではありません。 数多くの相続案件に携わる中で、私の中に蓄積された膨大な経験則――いわば「無意識のデータベース」が、「ここには何かまだ語られていない想いがある」と警告(アラート)を出しているのです。

共感力が導く「真の解決」

その直感に従って、私はあえて法律とは関係のない質問を投げかけることがあります。

「もしかすると、お父様に対して『もっとこうしてほしかった』という思いが、どこかにあるのかもしれませんね」

その一言が呼び水となり、ご相談者様がずっと蓋をしてきた本音が、涙とともに溢れ出すことがあります。 法的な手続きの前に、まずその「想い」を受け止めること。 それができて初めて、家族全員が納得できる「真の解決」へと向かうことができるのです。

4. 論理(Logic)と感性(Spirituality)のバランス

「車の両輪」としての重要性

ここまで「直感」や「感性」の重要性をお話ししてきましたが、もちろん、それだけで全てが解決するわけではありません。 法律実務において、論理(Logic)と感性(Spirituality)は、車で言えば「両輪」の関係にあります。

  • 感性だけで突っ走ると: 「想い」を優先するあまり、法的な整合性が取れなくなり、後で無効になったり、税務上のトラブルを招いたりする危険があります。
  • 論理だけで固めると: 法的には完璧でも、ご家族の心情を無視した「血の通わない解決」になり、将来に禍根を残す冷淡な結果になります。

どちらか一方に偏るのではなく、この2つのバランスを保ち続けることこそが、専門家に求められる資質です。

シアエスト司法書士事務所のスタンス

当事務所が目指しているのは、まさにこの「論理と感性の統合」です。

  1. 感性(EQ/SQ)で受け止める: まず、お客様の言葉にならない「想い」や「願い」を、直感と共感力で深く受け止めます。
  2. 論理(IQ)で守る: その大切な想いを、法的に揺るぎない形(遺言書や契約書)にするために、緻密な論理で「鉄壁の守り」を構築します。

「想いに寄り添い、法律で守り抜く」。 これこそが、シアエスト司法書士事務所が提供する、プロフェッショナルとしての価値です。

まとめ:見えない想いを、確かな形にするために

「スピリチュアル」や「直感」という言葉を、恐れる必要はありません。 それは、あなたが長い人生の中で大切に守り続けてきた「価値観」や「美学」そのものだからです。

論理的な手続きの正しさは、私たちがプロとして責任を持って担保します。 ですから、法律の枠に当てはまらないような、言葉にならない想いや願いも、どうぞ安心してお話しください。

「論理(Logic)」と「感性(Spirituality)」。 この両方の知性を使って、あなたとご家族にとっての「最適解」をご提案させていただきます。

シアエスト司法書士事務所は、あなたの人生の物語を大切に守るパートナーとして、いつでもお待ちしております。

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代表司法書士・行政書士 今井 康介

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