外国会社の登記とは?日本における代表者・営業所・商号など

※本記事は2026年10月時点の情報に基づいて解説しています。

外国会社が日本で事業を始めるときのご相談をいただくことがあります。頻繁にあるご相談ではありませんので、覚え書きとして、外国会社の登記についてまとめます。

これから日本での活動を考えておられる外国会社の参考になりましたら幸いです。

目次

外国会社とは?

外国会社とは、外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものを指します(会社法2条2号)。

「会社と同種のもの又は会社に類似するもの」とは、日本の株式会社、合名会社、合資会社、合同会社と同じ種類か、似ているものをいいます。

外国会社が日本で継続して取引をしようとするときは、「日本における代表者」を定め(会社法817条1項)、外国会社の登記をしなければなりません。登記をするまでは、日本で継続して取引をすることはできません(会社法818条1項)。日本に営業所(支店)を設けるかどうかは自由です。

つまり、事業をするにあたり営業所が必要なくても、日本において継続して取引をするためには「日本における代表者」を定める必要がありますのでご注意ください。

登記をしないまま継続して取引をした人は、相手方に対して外国会社と連帯して責任を負い(会社法818条2項)、過料の対象にもなります(会社法979条2項)。

なお、「日本に本店を置き、又は日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社」は、日本において継続して取引することは認められません(会社法821条1項)。このような場合は、日本の法令に基づいて子会社を設立することになります。

日本における代表者とは?

外国会社が日本で継続して取引をしようとする場合、日本における代表者を定めることになります。

日本における代表者が必要とされるのは、日本での取引で紛争が起きたときに、対応する相手方を確保し、日本国内での訴えの提起をしやすくするためと説明されています。

そのため、日本における代表者のうち1人以上は、日本に住所を有する者でなければなりません(会社法817条1項)。この要件を満たす限り、外国人が日本における代表者になることも認められます。

ここは、日本の株式会社と取扱いが違うので注意が必要です。日本の株式会社では、2015年3月16日から、代表取締役の全員が海外に住んでいても登記ができるようになりました(平成27年3月16日民商第29号通知 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00098.html )。

しかし、この見直しは日本の株式会社についてのものです。外国会社の日本における代表者は、会社法817条1項で「うち1人以上は日本に住所を有する者」と定められているため、今も、少なくとも1人は日本に住所のある人を選ぶ必要があります。

外国会社の日本における代表者は、その外国会社の日本における業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を持っています(会社法817条2項)。

なお、外国会社の登記の申請では、日本における代表者が外国会社を代表します(商業登記法128条)。本国の代表者が申請人になることはできません(司法書士が日本における代表者から委任を受けて、代理で申請することはできます)。日本における代表者が行方不明になった場合などは、改めて日本における代表者を選んで登記をすることになります。

また、日本に住所のある日本における代表者が全員退任しようとするときは、債権者に異議を述べる機会を与えるため、官報公告(1か月以上の期間)と、知れている債権者への個別の催告が必要です。退任の効力は、この手続の後に登記をした時に生じます(会社法820条、商業登記法130条2項)。

外国会社の商号はどうする?

外国会社の商号(会社名)に規制はあるのでしょうか。

日本の会社は、その商号中に「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」のいずれかの文字を用いなければなりません(会社法6条2項)。

しかし、外国会社にはこの規制が適用されないため、「◯◯カンパニー」「◯◯Co., Ltd.」などの表記で登記することができます。

ただし、会社法8条1項の規制は外国会社にも適用されます。そのため、不正の目的をもって、他の会社と誤認されるおそれのある名称又は商号を使用することは禁止されます。

外国会社の公告とは?

外国会社の登記をした外国会社のうち、日本の株式会社と同種か最も似ている会社は、本国での決算の承認の手続が終わった後、遅滞なく「貸借対照表に相当するもの」を日本で公告しなければなりません(会社法819条1項)。合同会社などに似た外国会社には、この義務はありません。

公告方法が官報または日刊新聞紙の場合は、要旨の公告で足ります(同条2項)。また、公告の代わりに、自社のホームページなどで5年間掲載し続ける方法(電磁的方法による開示)を選ぶこともできます(同条3項)。金融商品取引法により有価証券報告書を提出している外国会社は、公告は不要です(同条4項)。

公告を怠ると、日本における代表者が100万円以下の過料の対象になります(会社法976条2号)。

外国会社は、公告方法として官報・日刊新聞紙・電子公告のいずれかを定めることができ、定めがない場合は官報に掲載する方法となります(会社法939条2項・4項)。公告方法は、定めがない場合も含めて登記されます(会社法933条2項)。

日本における代表者が外国人でも印鑑届は必要?

2021年2月15日からは、日本における代表者が日本人か外国人かにかかわらず、登記をオンラインで申請する場合は、会社の印鑑の届出は任意になりました。書面(紙)で申請する場合は、申請書に届け出た印鑑を押すため、これまでどおり印鑑の届出が必要です。

ただし、会社の印鑑証明書は、銀行口座の開設や契約などで求められることが多いため、日本で継続して取引をするなら、届け出ておくほうが実務上は便利です。

外国人の日本における代表者が印鑑を届け出る場合、日本に住民登録があれば市区町村の印鑑証明書を使えます。住民登録がない場合などは、本国の官憲が作成した署名(サイン)証明書で代えることができ、本国の事情で取得できないときは、日本の公証人などの署名証明で代える扱いも認められています(平成28年6月28日民商第100号通達)。

外国会社の登記事項って?

外国会社の登記事項は、日本の会社のうち同じ種類か最も似ている会社の登記事項に、外国会社だけの事項を加えたものです(会社法933条2項)。

株式会社に似た外国会社の場合は、たとえば次のような内容を登記します。

  • 外国会社の設立の準拠法(どの国の法律で設立されたか)
  • 日本における代表者の氏名及び住所
  • 目的
  • 商号
  • 本店の所在場所(外国の本店)と、日本に営業所を設けた場合はその所在場所
  • 会社の存続期間又は解散の事由に定款の定めがあるときは、その定め
  • 資本金の額
  • 発行可能株式総数、発行済株式の総数など株式に関する事項
  • 本国の代表者や取締役など、役員に関する事項
  • 本国の法律による公告方法と、日本での公告方法

なお、資本金の額は外国本国の通貨(「ドル」「ウォン」など)で登記するのが通常です。役職についても、外国本国の実情に合った名称(「執行役」「理事」など)で登記することになります。

日本における代表者の住所も登記され、登記事項証明書で誰でも見ることができます。2024年10月1日から始まった「代表取締役等の住所の一部を表示しない措置」は、2026年10月時点では日本の株式会社の代表取締役等が対象で、外国会社は対象になっていません。

外国会社の登記の必要書類は?

初めて日本における代表者を定めて登記するときは、営業所を設けるかどうかにかかわらず、次のような書類を準備します(商業登記法129条1項)。

  • 本店の存在を認めるに足りる書面
  • 日本における代表者の資格を証する書面
  • 外国会社の定款その他外国会社の性質を識別するに足りる書面
  • 公告方法を定めた場合は、それを証する書面

これらの書類は、本国の管轄官庁か、日本にある本国の領事などの認証を受けたものでなければなりません(商業登記法129条2項)。実務では、本国の代表者が本国の公証人などの前で内容を宣誓した「宣誓供述書」にまとめる方法がよく使われます。外国語の書類には日本語の訳文をつけて、法務局に提出します。

登記の申請期限は、初めて日本における代表者を定めてから3週間以内です。申請先は、営業所を設けない場合は日本に住所のある日本における代表者の住所地、営業所を設けた場合はその営業所の所在地の法務局です(会社法933条1項)。

外国会社の登記の登録免許税

外国会社の登記の登録免許税(登記の際に納める税金)は、次のとおりです(登録免許税法 別表第一 24号(二))。

  • 営業所を設けて初めて登記する場合:営業所1か所につき9万円
  • 営業所を設けずに、日本における代表者だけを定めて登記する場合:6万円
  • 営業所を設けずに登記した外国会社が、後から初めて営業所を1か所設ける場合:6万円
  • 日本における代表者の変更など、その他の登記:1件につき9千円

まとめ

外国会社の登記は、日本の株式会社や合同会社などと異なる点が多くあります。特に、日本に住所のある日本における代表者が必要なこと、本国の書類に認証と訳文が必要なこと、株式会社に似た外国会社には毎年の貸借対照表の公告があることは、最初に押さえておきたいポイントです。

シアエスト司法書士・行政書士事務所では、外国会社のご相談にも対応しております。日本での継続した取引をお考えの外国会社様がおられましたら、お気軽にお問い合わせください(TEL 0798-31-5930)。

(参考)

会社・法人の登記のご依頼は、会社登記・法人手続きのご案内をご覧ください。ご相談は西宮北口の当事務所まで。

代表司法書士・行政書士 今井 康介

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