
※本記事は2026年10月時点の情報に基づいて解説しています。
家族信託は、誰を「受託者」にするかで、後々の家族関係が大きく変わります。契約の中身が完璧でも、進め方を誤ると家族が揉めることがあります。まずは55秒の動画で全体像をご覧ください。
受託者は、強い権限を持つ
家族信託の受託者になった人は、信託した財産を管理し、必要があれば売却などの処分もできる、強い権限を持ちます(信託法26条)。ただし、この権限は信託契約で制限することもできます。この権限の大きさが、そのまま家族間の緊張の種になり得ます。
「なぜ兄だけ」が生む不信感
説明不足がトラブルの主因になりやすい
他のきょうだいへ事前の説明がないまま契約が進むと、後から「なぜ兄だけ」「勝手に決めた」と不信感を持たれ、財産の使い込みを疑われることもあります。これは法律上の問題というより、家族間のコミュニケーションの問題として気をつけたい失敗パターンです。
受託者にも記録の義務がある
受託者には、信託財産に関する帳簿その他の書類を作成する義務があり(信託法37条1項)、毎年1回、貸借対照表等を作成する義務もあります(同条2項)。この2つの作成義務は信託契約で軽くすることはできません。作成した内容を受益者へ報告する義務(同条3項)については、信託契約に別段の定めがあればそれに従うことができます。ただし、受益者が求めたときの報告(同法36条)や、帳簿などの閲覧・写しの請求(同法38条1項)は、信託契約でも制限できません(同法92条7号・8号)。また、37条の報告の相手は受益者で、受益者でないきょうだいへの報告までは定められていません。
不信感を防ぐための工夫
受託者の記録・報告義務に加えて、信託を見守る「信託監督人」を置いたり、定期的に家族へ状況を共有する仕組みを作っておくと、不信感を防ぎやすくなります。信託監督人は信託法131条以下に規定される制度で、必須ではなく任意で設置するものです。何より重要なのは、契約前に受託者以外の家族にも内容を説明し、納得を得ておくことです。
受託者選びで迷ったら
受託者選びは、能力や年齢だけでなく「他の家族が納得できるか」が何より大切です。
「誰を受託者にすればいいか分からない」「家族に説明する自信がない」という場合こそ、専門家の同席が力になります。西宮・芦屋・宝塚・尼崎など阪神間で家族信託をご検討の方は、シアエスト司法書士・行政書士事務所までお気軽にご相談ください。
よくある質問
- 受託者は必ず子どものうち1人でなければいけませんか?
-
いいえ。複数の子を共同受託者にする設計や、専門家を信託監督人として関与させる設計も可能です。ご家族の状況に応じて柔軟に決められます。ただし、受託者が2人以上いるときは、契約に別段の定めがなければ、財産の保存を除く信託の事務は受託者の過半数で決めます(信託法80条)。2人なら意見がそろわないと進まないため、役割分担などを契約で決めておくことが大切です。
- 受託者になった子は、信託財産を自由に使えますか?
-
いいえ。受託者は、信託の目的に沿って、善良な管理者としての注意を払って財産を管理する義務(善管注意義務)を負い(信託法29条)、受益者のために忠実に行動しなければなりません(同法30条)。信託の財産を自分のために自由に使うことはできません。分別管理義務(信託法34条)もあり、自分の財産と混同することも禁じられています。
- 信託監督人には誰がなれますか?
-
未成年者や受託者本人などを除き、原則として制限はありません。司法書士などの専門家が就任することもあります。
- 家族会議はどのタイミングで開けばいいですか?
-
契約書を作る前が理想です。本人がまだ元気で、自分の言葉で「なぜこうしたいか」を説明できるうちに話しておくことで、後の反発を防ぎやすくなります。
- すでに受託者を決めて契約してしまいましたが、後から説明会を開いても意味がありますか?
-
意味はあります。すでに不信感が生まれている場合でも、専門家を交えて契約の内容と目的を説明し直すことで、状況が改善することがあります。ただし、すでに争いになっている場合は、弁護士へのご相談が必要になることがあります。
西宮・阪神間の家族信託は、シアエスト司法書士・行政書士事務所へ
当事務所は阪急西宮北口駅から徒歩3分。西宮市を中心に、芦屋市・宝塚市・尼崎市・神戸市など阪神間で、家族信託のご相談を承っています。
「誰に託すか」だけでなく「どう説明するか」も一緒に考えます。まずはお気軽にお問い合わせください(TEL 0798-31-5930)。
出典・参考
- 信託法26条(受託者の権限)・29条(注意義務)・30条(忠実義務)・34条(分別管理義務)・36条(報告を求める権利)・37条(帳簿等の作成義務・報告義務)・38条(帳簿等の閲覧等の請求)・80条(受託者が2人以上のときの決め方)・92条(契約で制限できない受益者の権利)・124条と137条(信託監督人になれない人)・131条以下(信託監督人)、法務省民事局参事官室「信託法改正要綱試案 補足説明」

