
※本記事は2026年10月時点の情報に基づいて解説しています。
遺言を書いたから安心——そう思っていませんか。実は、認知症対策としては効きません。まずは46秒の動画で全体像をご覧ください。
遺言が効力を持つのは、亡くなった後だけ
遺言は、亡くなった後の財産の分け方などを決めるもので、遺言者が亡くなった時に効力が生じます(民法985条1項)。生きている間、判断能力が下がった時の財産管理には、そもそも関係がありません。ですから、認知症になって預金が下ろせない、実家が売れないという事態を、遺言では防げません。この違いを理解しないまま「遺言さえ書けば安心」と思い込んでいる方もいます。
生前の財産管理もカバーできるのが家族信託
家族信託なら、生きている間の財産管理と、亡くなった後の承継先の指定を、まとめて決めておくことができます。ただし、信託契約を結ぶには、内容を理解できる判断能力が必要です。認知症が進んで判断能力がなくなると契約は結べないので、早めの準備が大切です(民法3条の2)。信託契約に「委託者が亡くなった時に、指定した人が受益権を取得する」旨を定めておけば(遺言代用信託、信託法90条1項1号)、遺言と同じような機能を持たせることも可能です。ただし、信託を使えば遺留分(一定の相続人に保障された取り分)の問題がなくなるわけではないと考えられています。どこまで影響するかは考え方が分かれているため、設計の段階で専門家にご確認ください。
どちらが必要かは、状況によって変わる
遺言と家族信託は役割が違うため、どちらか一方だけで足りるとは限りません。生前の財産管理に不安があるなら家族信託や任意後見、死後の財産分配だけを決めておきたいなら遺言、両方に備えたいなら組み合わせる、というように状況に応じて整理することが大切です。
遺言と家族信託、両方の視点から備える
遺言は亡くなった後の財産の分け方を、家族信託は生きている間の財産管理までカバーします。認知症対策としての家族信託の基本は親が認知症になったら、実家は「凍結」しますもあわせてご覧ください。
遺言と家族信託、どちらが必要か、あるいは両方必要かは、財産の内容によって変わります。西宮・芦屋・宝塚・尼崎など阪神間で生前対策をご検討の方は、シアエスト司法書士・行政書士事務所までお気軽にご相談ください。
よくある質問
- 遺言を書けば、認知症になったときの財産管理も安心ですか?
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いいえ。遺言はあくまで死後の財産分配を定めるもので、生前の判断能力の低下には対応できません。生前の備えには家族信託や任意後見の検討が必要です。
- 家族信託を組めば、遺言は書かなくていいですか?
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いいえ。家族信託でカバーできるのは信託に入れた財産だけです。信託に入れなかった財産については、遺言がなければ、相続人が複数いる場合は原則として相続人全員での遺産分割協議が必要になります。
- 遺言代用信託とはどんな仕組みですか?
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委託者の死亡によって、あらかじめ指定した人が受益権を取得する旨を信託契約に定めておく仕組みです(信託法90条)。遺言と似た機能を、生前からの財産管理と一体で設計できるのが特徴です。
- 任意後見と家族信託はどう違いますか?
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任意後見は、判断能力が低下した後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じ、その監督のもとで、契約で決めた範囲の財産管理や身上保護を行う制度です。家族信託は財産の管理・処分に特化し、裁判所の関与なく契約内容に沿って運用できる点が異なります。目的に応じて使い分け、あるいは併用します。なお、任意後見は令和8年6月24日に公布された法律で見直され、施行後は、明らかに監督の必要がないと家庭裁判所が認めれば、監督人を選任せず家庭裁判所が直接監督することもできるようになります。施行は公布から2年6か月以内で政令で定める日で、まだ決まっていません。
- どちらを先に相談すればいいですか?
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順番にこだわる必要はありません。今の財産状況や心配ごとを伺った上で、遺言・家族信託・任意後見のどれが必要か、あるいはどう組み合わせるかを一緒に整理します。
西宮・阪神間の家族信託・遺言は、シアエスト司法書士・行政書士事務所へ
当事務所は阪急西宮北口駅から徒歩3分。西宮市を中心に、芦屋市・宝塚市・尼崎市・神戸市など阪神間で、家族信託・遺言・任意後見のご相談を承っています。
遺言と家族信託、どちらが必要かも含めて整理します。まずはお気軽にお問い合わせください(TEL 0798-31-5930)。
出典・参考
- 民法985条1項(遺言の効力の発生時期)、民法3条の2(意思能力)、民法898条・907条(遺産の共有と分割の協議)、信託法90条(委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例。いわゆる遺言代用信託)、任意後見契約に関する法律2条・4条、民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号。法務省の案内)
- 民法1042条・1046条(遺留分) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 西希代子「信託法と相続法―信託と遺留分制度との関係を中心として」(信託協会) https://www.shintaku-kyokai.or.jp/archives/007/202301/43-01.pdf

