行方不明の相続人がいると遺産分割できない|不在者財産管理人・失踪宣告の進め方【西宮の司法書士】

行方不明の相続人がいると遺産分割できない|不在者財産管理人・失踪宣告の進め方【西宮の司法書士】

「長年連絡を取っていない兄がいる」——その一人と連絡がつかないだけで、実家の名義変更も売却も止まってしまいます。行方不明の相続人がいる相続の進め方を、まず動画でご覧ください。

目次

遺産分割は相続人全員の合意が必要

遺産分割協議は、相続人全員が参加して合意しなければ成立しません(民法907条)。一部の相続人を欠いたままの協議は無効です。連絡が取れない相続人がいても、その人を勝手に外して手続きを進めることはできません。金融機関の預金解約も、不動産の相続登記も、原則として相続人全員の署名・押印(印鑑証明書つき)が必要になるため、一人でも欠けると手続き全体が止まります。

まず所在を調査する

「連絡が取れない」といっても、多くの場合、戸籍をたどれば住所が判明します。相続人の戸籍を集め、そこから「戸籍の附票」(その戸籍にいる間の住所の異動履歴を記録したもの)を取得すると、現在の住民票上の住所が分かります。

司法書士は、相続手続きの受任者として、職務上請求により相続人の戸籍・戸籍の附票を取り寄せることができます。判明した住所に手紙を送り、相手から連絡が来れば、そこから遺産分割の話し合いを始めます。疎遠なだけで生きていて所在も分かる、というケースは実は多く、この段階で解決することも少なくありません。

それでも所在が分からないとき

附票をたどっても住所地に居住実態がない、郵便も届かない、という場合は、家庭裁判所の手続きを使います。

不在者財産管理人の選任

従来の住所や居所を去り、容易に戻る見込みのない人(不在者)について、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てます(民法25条)。選任された管理人が不在者に代わって遺産分割協議に加わります。ただし、遺産分割や不動産の処分は管理人の通常の権限を超えるため、家庭裁判所の許可(権限外行為許可。民法28条)が必要です。申立てには予納金が必要になることが多く、不在者の取り分は原則として確保しておくことになります。

失踪宣告

生死不明の状態が7年間続いている場合は、失踪宣告を申し立てることができます(普通失踪。民法30条1項)。宣告されると、その人は法律上死亡したものとみなされ、さらにその人の相続人が遺産分割に加わることになります。戦争・船舶の沈没・震災などの危難に遭遇し、その危難が去ってから1年間生死不明の場合は特別失踪(1年)です(同2項)。

放置すると相続人が増えていく

「連絡が取れないから」と手続きを止めていると、その間に相続人の誰かが亡くなり、その配偶者や子が新たな相続人として加わります(数次相続)。当事者が10人、20人と増え、面識のない人同士で分割協議をすることになり、解決はさらに難しくなります。相続人の所在に不安があるなら、早めに着手することが何よりの対策です。

よくある質問

所在は分かっているが、協議に応じてくれない相続人がいます。

それは行方不明とは別の問題です。話し合いに応じない相続人がいる場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、それでもまとまらなければ審判で決めることになります。

不在者財産管理人の予納金はいくらくらいですか?

事案によりますが、数十万円程度を求められることが多く、管理財産から管理人報酬がまかなえる場合は後日返還されることもあります。金額は家庭裁判所が事情に応じて決めます。

相続人の一人が海外にいて連絡は取れます。手続きはできますか?

できます。在外公館で発行されるサイン証明(署名証明)・在留証明を印鑑証明書・住民票の代わりに使う方法があります。海外在住の相続人がいるケースも対応しています。

昔、相続人の一人と絶縁しました。その人を除いて分けられませんか?

絶縁という法的な制度はなく、相続人であることに変わりはありません。その人を含めて協議するか、廃除・相続放棄など別の手続きを検討することになります。

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「連絡が取れない相続人がいて進まない」——所在調査から家庭裁判所の手続きまで対応します(TEL 0798-31-5930)。

出典・参考

  • 民法907条(遺産分割協議は相続人全員で)、25条・28条(不在者財産管理人、権限外行為許可)
  • 民法30条1項(普通失踪=生死不明7年)、同2項(特別失踪=危難が去って1年)、31条(失踪宣告の効果)
  • 住民基本台帳法(戸籍の附票)、司法書士法(職務上請求)
代表司法書士・行政書士 今井 康介

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