成年後見の費用はいくら?申立ての費用・後見人の報酬のめやす・ずっと続く理由と西宮市の助成、家族信託・任意後見との違い【西宮の司法書士が解説】

※本記事は2026年10月時点の法令にもとづいて解説しています。

「母の物忘れが進み、銀行の窓口で成年後見を勧められた。でも、専門家の後見人に毎月お金を払い続けると聞いて不安になった」
「申立てにいくらかかるのか、いつまで払い続けるのかが分からない」

成年後見の費用は、「申立てのときに一度かかる費用」と、「後見が始まった後に続く費用」に分けて考えると、見通しが立てやすくなります。とくに不安が大きいのは後者で、ご相談でも「費用がずっとかかるのでは」というお声を伺うことがあります。

この記事では、成年後見の費用に話をしぼって、申立ての費用、後見人・監督人の報酬のめやす、費用が長く続く理由、西宮市の助成、家族信託・任意後見との費用の違い、改正法による見通しをお話しします。誰が後見人に選ばれるかについては、次の記事で説明しています。

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目次

先に結論:申立ては数千円から十数万円、続く費用は「報酬」です

  • 申立てのときは、神戸家庭裁判所の場合、収入印紙3,400円分(申立手数料800円・登記手数料2,600円)と郵便切手3,950円分(後見の場合)に、診断書や戸籍などの取り寄せ費用がかかります。鑑定をする場合は、鑑定料(神戸家庭裁判所の案内では10万円前後)が加わります
  • 専門職が後見人や監督人に選ばれると、家庭裁判所が決めた報酬を本人の財産から払います。大阪家庭裁判所が公表しているめやすでは、成年後見人の基本報酬は月額2万円です
  • 今の制度では、後見は本人が亡くなるか、判断能力が回復するまで続きます。そのため報酬も長く続くことになります
  • 財産の少ない方には、市町村の助成があります。西宮市では、申立ての費用と後見人等の報酬(上限は在宅で月額28,000円、施設で月額18,000円)の助成があります
  • 2026年6月公布の改正法で、「必要がなくなれば終えられる」仕組みに変わる見通しです。施行日はまだ決まっていません

1. 成年後見の費用は「2つの段階」で考えます

段階主な費用誰が払うか
申立てのとき収入印紙、郵便切手、診断書、戸籍などの取り寄せ費用、鑑定料原則として申立人(家事事件手続法28条1項)
後見が始まった後後見人・監督人の報酬、後見の仕事にかかる実費本人の財産から(民法862条)

申立ての費用は、原則として申し立てた人が負担します。神戸家庭裁判所の「成年後見人Q&A」でも、後見等の申立費用は、原則として申立人の負担とされています。ただし、家庭裁判所は事情により、手続の費用の全部または一部を、審判を受ける本人などに負担させることができます(家事事件手続法28条2項)。本人の負担にしてもらえるかは、家庭裁判所の判断です。

いっぽう、後見が始まった後の報酬や実費は、本人の財産から支払います。

2. 申立てのときの費用(神戸家庭裁判所の場合)

家庭裁判所に納めるもの

西宮市にお住まいの方の申立ては、神戸家庭裁判所尼崎支部が受け持ちます。神戸家庭裁判所の「成年後見等の申立てについて(チェックシートとチャート)」では、次のとおり案内されています。

費用金額
申立手数料(収入印紙)後見・保佐は800円分。保佐・補助で代理権や同意権を付ける場合は1,600円分または2,400円分
登記手数料(収入印紙)2,600円分(申立書に貼らずに出します)
郵便切手後見は3,950円分、保佐・補助は4,950円分(内訳も決まっています)
鑑定料鑑定をする場合だけ。神戸家庭裁判所の案内では10万円前後(申立てのときに納める必要はありません)

収入印紙と郵便切手は、家庭裁判所の中では売っていないため、郵便局などで用意します。

書類の取り寄せにかかる費用

申立てには、次のような書類が必要です。

  • 診断書(成年後見制度用):主治医に依頼します。料金は医療機関によって違います。診断日から3か月以内のものを出します
  • 本人情報シート:ケアマネジャーなど、本人を支えている福祉関係者に書いてもらいます
  • 本人の戸籍謄本・住民票、候補者の住民票など:市区町村の手数料がかかります
  • 登記されていないことの証明書:本人がすでに後見などを受けていないことの証明で、法務局で取ります(1通につき300円分の収入印紙)

鑑定は、いつも行われるわけではありません

鑑定とは、本人の判断能力について、家庭裁判所が医師に詳しく調べてもらう手続です。神戸家庭裁判所の案内では、原則として鑑定が必要としつつ、事案によっては不要とされる場合があるとされています。

最高裁判所の統計では、2025年に終わった成年後見関係の事件のうち、鑑定をしたものは約3.4%でした。鑑定をした事件の鑑定料は、5万円以下が約43.7%、10万円以下まで含めると約85.8%です(最高裁判所「成年後見関係事件の概況」令和7年)。

書類の作成を専門家に頼む場合

申立書や財産目録などの作成を司法書士などに頼む場合は、別にその報酬がかかります。司法書士は、家庭裁判所に出す書類の作成を業務としています(司法書士法3条1項4号)。家庭裁判所での面談などには、申立人ご本人に対応していただきます。

3. 後見が始まった後の費用:後見人・監督人の報酬

報酬は家庭裁判所が決め、本人の財産から払います

家庭裁判所は、後見人と本人の資力その他の事情によって、本人の財産の中から相当な報酬を後見人に与えることができます(民法862条)。後見監督人も同じです(民法852条)。

神戸家庭裁判所の「成年後見人Q&A」では、報酬について次のように案内されています。

  • 報酬を受け取るには、家庭裁判所に「報酬付与」の申立てをします。管理している本人の財産から、勝手に受け取ることはできません
  • 報酬は後払いで、おおむね1年ごとが目安です
  • 金額は、管理している財産の額や仕事の難しさなどを総合的に見て、家庭裁判所が事案ごとに決めます。決まった額に不服を申し立てることはできません
  • 本人に財産がない場合は、報酬を支払うことはできません

報酬のめやす

大阪家庭裁判所が公表している「成年後見人等の報酬額のめやす」(令和7年4月)では、専門職などが通常の仕事をした場合の基本報酬のめやすは、次のとおりです。管理財産額とは、預貯金と有価証券などの流動資産の合計額です。

立場管理財産額基本報酬のめやす(月額)
成年後見人1,000万円以下2万円
成年後見人1,000万円超〜5,000万円以下3万〜4万円
成年後見人5,000万円超5万〜6万円
成年後見監督人5,000万円以下1万〜2万円
成年後見監督人5,000万円超2万5,000〜3万円

継続的な財産管理の権限がある保佐人・補助人や、保佐監督人・補助監督人・任意後見監督人も同じ扱いとされています。また、特に手間のかかる仕事があった場合は、報酬が加算されることがあります(付加報酬)。

ただし、これはあくまでめやすで、法律で決まった基準ではありません。実際の額は、家庭裁判所が事案ごとに決めます。最高裁判所は、2025年7月〜12月に決まった報酬の実情調査の結果も公表しています。くわしい相場は、次の記事で紹介しています。

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長く続くと、どのくらいになるか

仮に、基本報酬のめやす月額2万円で計算すると、1年で24万円、5年で120万円、10年で240万円です。財産が多い場合や、監督人が選ばれる場合は、さらにかかります。

家族が後見人になった場合は、報酬の申立てをしなければ報酬はかかりません。ただし、家庭裁判所が専門職の後見監督人を選んだ場合は、監督人の報酬がかかります。また、家庭裁判所に出す書類のコピー代や切手代、交通費などの実費は、本人の財産から支出できるとされています(神戸家庭裁判所「成年後見人Q&A」)。

4. 今の制度では、後見は途中でやめられません

費用の不安が大きくなる理由は、後見が長く続くことにあります。

神戸家庭裁判所の「成年後見人Q&A」では、後見人の仕事が終わるのは、本人が亡くなったとき、判断能力が回復して後見開始の審判が取り消されたとき(民法10条)、後見人が辞任したとき、解任されたとき、とされています。後見人が辞任・解任されても、次の後見人が選ばれるため、後見そのものは続きます。

預金の解約や遺産分割など、申し立てたきっかけの手続きが終わっても、後見は終わりません。後見人による財産の管理と家庭裁判所への報告が続き、専門職が選ばれていれば、その報酬も続きます。

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5. 費用の助成:西宮市の成年後見制度利用支援事業

市町村には、財産の少ない方のために、申立ての費用や後見人等の報酬を助成する「成年後見制度利用支援事業」があります。ただし、厚生労働省の資料でも、市町村によって実施の状況が違うと指摘されています。お住まいの市町村で確かめることが大切です。

西宮市の公式ページ(2026年10月1日更新)では、次のように案内されています。西宮市は2026年10月1日に要綱を改正しています。

申立ての費用の助成

項目内容
対象本人が申し立てる場合、または親族が申し立てる場合で、本人(親族の申立てでは本人と申立人の両方)が生活保護を受けているなどの要件に当てはまり、法テラスの民事法律扶助を利用できずに申し立てた方
助成するもの申立手数料、郵便切手代、登記手数料、鑑定費用(上限10万円)、診断書の作成料(上限5,000円)の実費
申請の期限審判が確定した日から6か月以内

申立ての前であれば、まず法テラスの民事法律扶助の利用を考えるよう案内されています。

後見人等の報酬の助成

項目内容
対象西宮市に住む方などで、生活保護を受けている方や、市長が申し立てて資産・貯蓄が乏しい方など、助成を受けなければ制度を使うのが難しい方
対象外後見人等が親族(またはそれに準ずる人)である場合など
上限在宅の方は月額28,000円、施設に入っている方は月額18,000円(家庭裁判所が決めた報酬額の範囲内)
助成額の考え方資産が40万円以下なら、報酬額と上限額の少ない方。40万円を超えるときは、「40万円+報酬額−資産額」と上限額の少ない方
申請の期限報酬付与の審判から3か月以内

窓口は、65歳以上の方など介護保険の被保険者は「くらし支援課」、知的障害・精神障害のある方などは「障害福祉課」です。身寄りがなく、市長が申立てをする場合の仕組みは、次の記事で説明しています。

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6. 家族信託・任意後見と、費用の違い(一般論)

本人が元気なうちであれば、成年後見(法定後見)のほかに、任意後見や家族信託という方法もあります。費用の考え方は、次のように違います。

項目法定後見任意後見家族信託
始めるとき判断能力が衰えた後に家庭裁判所へ申立て元気なうちに、公正証書で契約(任意後見契約法3条)元気なうちに、信託の契約(信託法3条)
最初の費用申立ての費用公正証書の手数料など契約書の作成、公正証書、不動産の信託の登記などの費用
続く費用家庭裁判所が決める後見人・監督人の報酬発効後の任意後見監督人の報酬(家庭裁判所が決める)。任意後見人の報酬は契約で決める受託者の報酬は契約で決める(無報酬とすることもある)
できること財産管理と身上保護(介護や施設の契約など)契約で決めた範囲信託した財産の管理・処分。身上保護はできない

任意後見は、本人の判断能力が衰えた後、家庭裁判所が任意後見監督人を選んだ時から効力が生じます(任意後見契約法2条1号・4条)。家族信託の受託者には、信頼できる親族などがなります。どちらも、契約をするときに本人に十分な判断能力が必要です。判断能力がすでに衰えている場合は、法定後見を使うことになります。

また、家族信託は財産の管理の仕組みで、介護サービスや施設入所の契約などの身上保護には使えません。費用だけでなく、何をしてほしいかで選ぶことが大切です。くわしくは次の記事で説明しています。

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7. 改正法で、費用の見通しはどう変わるか(施行前)

2026年6月17日に成立し、6月24日に公布された「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)で、成年後見制度は大きく変わります。法務省の概要資料によると、費用に関わる主な変更は次のとおりです。

  • 必要がなくなれば終えられる:後見・保佐は「補助」に一本化され、制度を使う必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば、利用を終えられるようになります(新しい民法12条)。「始めたらずっと報酬が続く」という今の不安は、小さくなる見通しです
  • 報酬の考え方を明確に:家庭裁判所が報酬を決めるとき、補助人が行った事務の内容などを考える事情として法律に書き込みます(新しい民法876条の19)。報酬の実績を公表して、予測しやすくすることも予定されています
  • 任意後見の監督:任意後見監督人による監督が明らかに必要ないと家庭裁判所が認めるときは、監督人を選ばず、家庭裁判所が直接監督できるようになります
  • 今使っている方も:今、後見・保佐を使っている方も、施行後は新しい制度への移行や、取消しの申立てができるようになります(改正法附則2条・3条)

施行は「公布の日から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日」で、2026年10月時点では日付が決まっていません。どのような場合に「必要がなくなった」と認められるかは、施行後の運用によります。改正の全体像は、次の記事でまとめています。

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8. 費用で後悔しないためのチェックリスト

  1. 目的を書き出す:預金の解約、施設の契約、不動産の売却、遺産分割など、何のために後見が必要か、いつまでに必要かを書き出します
  2. 本人の財産と収支を確かめる:預貯金、年金などの収入、施設費などの支出を見て、報酬を払い続けられるかを考えます
  3. 申立ての費用を見積もる:印紙・切手、診断書、戸籍などの費用と、鑑定がある場合の鑑定料を見込みます
  4. 後見人・監督人の見込みを話し合う:家族が候補者になるか、専門職が選ばれる可能性や監督人がつく可能性も含めて、家族で共有します
  5. 助成の対象か確かめる:生活保護を受けている、財産が少ないなどの場合は、市町村の窓口に助成の対象かを相談します
  6. 元気なうちなら、ほかの方法と比べる:本人に十分な判断能力があるなら、任意後見や家族信託も含めて考えます

よくある質問

成年後見の申立てには、全部でいくらかかりますか?

神戸家庭裁判所の場合、後見の申立てでは収入印紙3,400円分と郵便切手3,950円分が基本です。これに診断書の料金や、戸籍・住民票・登記されていないことの証明書などの取り寄せ費用が加わります。鑑定をする場合は鑑定料(案内では10万円前後)がかかります。書類の作成を専門家に頼む場合は、別にその報酬がかかります。

専門職の後見人の報酬は、家族が払うのですか?

いいえ。報酬は家庭裁判所が金額を決め、本人の財産から支払われます。大阪家庭裁判所のめやすでは、成年後見人の基本報酬は月額2万円(管理財産額が多い場合は3万〜6万円)です。本人の財産が少ない場合は、市町村の助成を使えることがあります。

家族が後見人になれば、費用はかかりませんか?

家族の後見人は、報酬の申立てをしなければ報酬はかかりません。ただし、家庭裁判所が専門職の後見監督人を選んだ場合は、監督人の報酬が本人の財産からかかります。後見の仕事にかかる交通費などの実費も、本人の財産から支出します。

預金の解約が終わったら、後見をやめて費用を止められますか?

今の制度では、本人が亡くなるか、判断能力が回復するまで後見は続きます。改正法の施行後は、必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば終えられるようになり、今使っている方も終了などを申し立てられます。施行日は2026年10月時点で未定です。

西宮市で、成年後見の費用の助成は受けられますか?

西宮市には、申立ての費用と後見人等の報酬の助成があります。報酬の助成の上限は、在宅で月額28,000円、施設で月額18,000円です。生活保護を受けているなどの要件があり、後見人等が親族の場合は報酬の助成の対象外です。くわしくは市のくらし支援課または障害福祉課で確かめてください。

まとめ

成年後見の費用は、申立てのときの費用と、後見が始まった後の報酬に分かれます。申立ての費用は、神戸家庭裁判所の場合、印紙・切手で7,000円余りに、診断書や戸籍などの費用がかかり、鑑定をする場合は鑑定料が加わります。専門職が後見人や監督人に選ばれると、家庭裁判所が決めた報酬を本人の財産から払い、今の制度では後見が続くかぎり報酬も続きます。

財産の少ない方には、西宮市などの助成があります。本人が元気なうちであれば、任意後見や家族信託と比べて選ぶこともできます。改正法の施行後は「必要がなくなれば終えられる」仕組みになりますが、施行日はまだ決まっていません。目的と費用の見通しを家族で共有してから申し立てることが大切です。

成年後見の申立てや、任意後見・家族信託など将来に向けた準備のご相談は、西宮北口のシアエスト司法書士・行政書士事務所でもお受けしています。目的と費用の見通しの整理から、申立書類の作成まで、順を追ってご案内します。

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出典・参考

代表司法書士・行政書士 今井 康介

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