配偶者居住権とは|二次相続で税負担が軽くなる仕組みと登記の注意点【西宮の司法書士】

夫が亡くなり、妻が自宅を相続したら、預金がほとんど残らなかった——高齢のご夫婦の相続でよくある悩みです。2020年に新設された「配偶者居住権」を使うと、妻は家に住み続けながら、預金など他の財産も確保しやすくなります。まず動画でご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=RxMP-QCDE88
目次

配偶者居住権とは——「所有権」と「住む権利」を分ける

配偶者居住権は、2020年4月1日に施行された制度です(民法1028条〜1036条)。被相続人が所有していた建物に配偶者が相続開始時に住んでいた場合、その配偶者が亡くなるまで(または一定期間)その建物に無償で住み続けられる権利です。

ポイントは、自宅の「所有権」と「住み続ける権利」を切り離せることです。たとえば、自宅の所有権は子が相続し、住む権利(配偶者居住権)は妻が取得する、という分け方ができます。妻は所有者にはなりませんが、生きているあいだ、その家に住み続けられます。

配偶者が預金を多めに相続できる

遺産分割では、配偶者居住権にも財産的な評価額がつきますが、自宅の「所有権」を丸ごと取得するよりは低い金額になります。その差額の分、配偶者は預金など他の財産を多めに相続できます。

たとえば「自宅2,000万円・預金2,000万円」で妻の取り分が2,000万円のケース。自宅の所有権をすべて相続すると預金は受け取れませんが、配偶者居住権(評価額1,000万円と仮定)にすれば、預金1,000万円も一緒に相続できます。老後の生活資金を確保しやすくなるわけです。

二次相続で税負担が軽くなることがある

配偶者が亡くなると、配偶者居住権は消滅します。「消滅する」だけで、子などに移転するわけではないため、その時点(二次相続)で自宅に相続税がかかりません。一次相続(夫の相続)と二次相続(妻の相続)を通じてみると、トータルの相続税の負担が軽くなることがあります。

ただし、配偶者居住権は「節税のための制度」ではなく、配偶者の住まいと生活を守るための制度です。税負担が必ず軽くなるとは限らず、家族構成や財産の内訳によります。税額の試算は提携する税理士と連携して行います。

設定するには遺言か遺産分割、そして登記が必要

配偶者居住権は、遺言(遺贈)または遺産分割協議・家庭裁判所の審判によって設定します。「妻に配偶者居住権を遺贈する」と遺言で定めておくのが、最も確実です。

さらに、配偶者居住権は登記しておかないと、建物が第三者に売却されたときなどに権利を主張できません(民法1031条)。登記が第三者対抗要件)。設定したら必ず建物に登記をします。当事務所では、遺言の作成から相続後の登記まで一貫して対応します。

注意点——存続期間・用法遵守・譲渡不可

配偶者居住権にはデメリットもあります。原則として配偶者が亡くなるまで存続しますが、遺言や遺産分割で期間を区切ることもできます。また、居住権者は建物を従来の用法に従って使う義務があり、他人に売ったり貸したりすることは所有者の承諾がなければできません。設計の段階で、こうした制約も含めてご説明します。

よくある質問

配偶者居住権は必ず使ったほうがよいのですか?

いいえ。夫婦の年齢が近い、自宅より預金のほうが多い、子と同居していないなど、ケースによっては使わないほうがよいこともあります。家族構成と財産の内訳をお聞きして判断します。

内縁の妻でも配偶者居住権を取得できますか?

できません。配偶者居住権は法律上の配偶者に限られます。内縁の場合は、遺言による遺贈や、生前の対策で住まいを確保する方法を検討します。

すでに遺産分割が終わっています。後から設定できますか?

遺産分割をやり直す合意ができれば可能ですが、贈与税などの問題が生じることがあります。まずはご相談ください。

老人ホームに入ったら配偶者居住権はどうなりますか?

住まなくなっても権利自体は残りますが、所有者との合意で消滅させ、代わりに金銭を受け取る方法などもあります。状況に応じて設計します。

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当事務所は阪急西宮北口駅から徒歩3分。西宮市を中心に、芦屋・宝塚・尼崎・神戸など阪神間で、生前対策・遺言・家族信託のご相談を承っています。

「家は子に、住む権利は妻に」を実現したい方は、遺言の作成から登記までご相談ください。税額の試算は提携税理士と連携します(TEL 0798-31-5930)。

出典・参考

  • 民法1028条〜1036条(配偶者居住権)、1031条(登記=第三者対抗要件)、2020年4月1日施行
  • 法務省「残された配偶者の居住権を保護するための方策(配偶者居住権等)」
  • ※相続税の具体的な取扱い・試算は提携税理士と連携して確認します。
代表司法書士・行政書士 今井 康介

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