※本記事は2026年10月時点の情報に基づいて解説しています。
「登記って、自分でやってもいいんですか?」相続や不動産の名義変更のご相談で、本当によく聞かれる質問です。
結論から言うと、土地や建物の名義変更(不動産登記)は、法律上ご本人が自分で申請してかまいません。司法書士に頼まなければいけない、という決まりはありません。
ただし、「できるかどうか」と「やるべきかどうか」は別の問題です。登記の種類によって、自分でも十分に進められるものと、失敗したときの影響が大きいものがはっきり分かれます。
この記事では、自分で不動産登記をしてみたい方に向けて、次のことを順番に整理します。
- 自分でできる登記・難しい登記の見分け方(早見表)
- 自分で登記するときの流れと、法務局の手続案内の使い方
- 相続・住所変更・抵当権抹消の必要書類
- 費用の比較(自分でやる場合と司法書士に頼む場合)
- 失敗しやすい点と、2024年・2026年の義務化をふまえた注意点
結論:自分でできる登記・難しい登記の早見表
まずは結論からです。あくまで目安ですが、実務の感覚では次のように分かれます。
| 登記の種類 | 自分で | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 住所・氏名の変更登記 | できることが多い | 住民票などで変更を証明するだけ。書類も少なめです |
| 相続登記(遺産分割・法定相続・遺言) | できることが多い | 戸籍集めは大変ですが、相続人だけで申請できます |
| 抵当権抹消登記(住宅ローン完済後) | できることが多い | 金融機関から届く書類をそろえて申請します |
| 売買・贈与・財産分与による名義変更 | 難しい・リスク大 | 相手方との共同申請で、税金の判断も必要です |
| 権利証・登記識別情報をなくした場合 | 難しい | 本人確認のための別の手続が必要になります |
| 数次相続(相続人も亡くなっている) | 難しい | 戸籍が増え、申請の組み立ても複雑になります |
| 相続人に未成年者・判断能力が不十分な方がいる | 難しい | 家庭裁判所での特別代理人や成年後見人の選任が必要になることがあります |
| 農地(田・畑)の名義変更 | 難しい | 売買・贈与は農業委員会の許可が必要です |
| 共有関係が複雑な不動産 | 難しい | 持分の計算や共有者全員の協力が必要です |
上の3つ(住所・氏名変更、相続、抵当権抹消)は、法務局に申請書の様式と記載例が用意されていて、書類をそろえれば自分でも進めやすい登記です。
一方、下の段の登記は「書類を書けるか」より「間違えたときに取り返しがつくか」が問題になります。ここは無理をせず、少なくとも一度は専門家に相談してから決めることをおすすめします。
そもそも「登記は自分でできる」のか?
法律上は「本人申請OK」
不動産登記も商業・法人登記も、本人が自分で申請すること(本人申請)が認められています。
法務局のホームページには、主な登記申請書の様式や記載例が公開されています。不動産登記では、住所・氏名の変更、相続(法定相続・遺産分割・遺言など)、売買、贈与、財産分与、抵当権抹消などの様式がそろっています(法務局:不動産登記の申請書様式について)。
- 申請書のひな形:法務局HPからダウンロード
- 手続の流れや必要書類:記載例やパンフレットで案内
- 不明点:法務局の「登記手続案内」(予約制)で相談可能
仕組みとしては「自分で登記しやすい方向」に進んでいるのはたしかです。
自分で不動産登記をするときの流れ
自分で土地・建物の名義変更をする場合、おおまかな流れは次の7ステップです。
① 登記事項証明書で、いまの名義と物件を確認する
最初に、法務局で「登記事項証明書」(登記簿の写し)を取り、いまの名義人の住所・氏名、土地の地番や建物の家屋番号を確認します。申請書はこの内容と一字一句合わせて書くので、ここが出発点です。
手数料は、令和7年4月1日から、窓口などでの書面請求が1通600円、オンラインで請求して郵送してもらう場合が520円、オンラインで請求して窓口で受け取る場合が490円です(法務省:登記手数料について)。
② 必要書類を集める
戸籍、住民票、印鑑証明書、固定資産評価証明書など、登記の種類に応じた書類を集めます。登記の種類ごとの書類は、このあとの「必要書類の早見」でまとめています。
③ 申請書を作る
法務局の様式と記載例を見ながら、申請書を作ります。A4の用紙を使い、パソコンで入力するか、黒のボールペンなどで書きます(鉛筆は使えません)。
なお、2026年10月5日以降の申請では、新たに所有権の登記名義人となる個人(日本人も含みます)は、国籍等の申出をすることになりました(住民票などの国籍が分かる書類も必要です。申し出た国籍は登記簿には載りません)。申請書は必ず法務局の最新の様式・記載例を使ってください。
④ 登録免許税を計算して、収入印紙を用意する
登記には「登録免許税」という国の税金がかかります。多くの場合、固定資産評価証明書の価格をもとに計算し、その金額の収入印紙を申請書に貼って納めます。税率は、このあとの「費用の比較」で表にしています。
⑤ 法務局へ提出する(窓口・郵送・オンライン)
提出先は、不動産の所在地を管轄する法務局です。提出方法は3つあります。
- 窓口に持参する
- 郵送する(封筒に「不動産登記申請書在中」と書き、書留郵便で送ります)
- オンラインで申請する
オンライン申請は、マイナンバーカードの電子署名などの準備が必要です。また、戸籍の証明書は電子データでは発行されていないため、相続登記はオンラインだけでは完結せず、戸籍などの書類は後日、郵送か持参で法務局に届けることになります(法務局:不動産登記のオンライン申請について)。
⑥ 補正があれば対応する
書類の不足や記載の誤りがあると、法務局から連絡があり、「補正」(書類の手直し)を求められます。補正で直せない誤りの場合は、いったん申請を取り下げて出し直すこともあります。
⑦ 完了したら、登記識別情報と登記完了証を受け取る
登記が終わると、新しく名義人になった方には「登記識別情報」(いわば新しい権利証にあたる12桁の英数字)が通知されます。住所変更や抵当権抹消のように新しく名義人にならない登記では、登記完了証のみです。郵送で受け取る場合は、返信用封筒と切手(本人限定受取郵便などの料金)を申請時に用意しておきます。
法務局の「登記手続案内」は予約制
法務局では、申請書の書き方などについて「登記手続案内」を受けられます。多くの法務局で予約制になっており、窓口での対面のほか、電話やウェブ会議で案内を受けられる庁もあります。
西宮市内の不動産を扱う神戸地方法務局西宮支局も、登記手続案内は予約制で、電話で予約する形になっています(神戸地方法務局:西宮支局)。
ただし、法務局が答えてくれるのは「書き方・出し方」までです。遺産分割の内容をどう決めるか、税金はどうなるか、といった判断は手続案内の対象外です。

必要書類の早見(相続・住所変更・抵当権抹消)
ここでは、自分でも進めやすい3つの登記について、代表的な必要書類をまとめます。ご家族の状況によって追加の書類が必要になることがあります。
相続登記(遺産分割で名義を決めた場合)
| 書類 | どこで取るか |
|---|---|
| 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍) | 本籍地の市区町村 |
| 亡くなった方の住民票の除票(または戸籍の附票) | 最後の住所地(本籍地)の市区町村 |
| 相続人全員の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) | 各相続人の本籍地の市区町村 |
| 遺産分割協議書(相続人全員が実印で押印) | ご自身で作成 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 各相続人の住所地の市区町村 |
| 不動産を取得する方の住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの) | 住所地の市区町村 |
| 固定資産評価証明書(または納税通知書の課税明細) | 不動産所在地の市区町村(都税事務所) |
| 相続関係説明図(戸籍の原本を返してもらうため) | ご自身で作成 |
令和6年3月1日からは「戸籍の広域交付」が始まり、本籍地が遠方でも、最寄りの市区町村の窓口で本人・配偶者・父母・子などの戸籍をまとめて請求できるようになりました。ただし、兄弟姉妹の戸籍は対象外で、郵送や代理人による請求もできません(法務省:戸籍証明書等の広域交付について)。
法定相続分どおりに名義を入れる場合は遺産分割協議書と印鑑証明書は不要、遺言がある場合は遺言書が中心になるなど、パターンによって書類が変わります。戸籍の原本を返してもらう方法(原本還付)は、次の記事で詳しく解説しています。

住所変更登記(引っ越しで住所が変わった場合)
| 書類 | ポイント |
|---|---|
| 住民票の写し | 登記簿上の住所から今の住所までのつながりがわかるもの |
| 戸籍の附票 | 引っ越しを何度もしていて、住民票だけではつながらない場合 |
| 戸籍謄本 | 結婚などで氏名も変わった場合 |
住所変更登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。土地1筆と建物1棟なら2個で2,000円になります。
抵当権抹消登記(住宅ローンを完済した場合)
| 書類 | ポイント |
|---|---|
| 金融機関から届く書類一式 | 解除証書(弁済証書)、抵当権の登記識別情報(または登記済証)、委任状など |
| 金融機関の会社法人等番号 | 書類に記載されていることが多いです |
| (必要に応じて)住民票の写し | 登記簿上の住所と今の住所が違う場合は、先に住所変更登記が必要です |
抵当権抹消は、ご自身でも挑戦しやすい登記の代表です。書き方や注意点は、こちらの記事で詳しくまとめています。

費用の比較:登録免許税は自分でも司法書士でも同じ
違いは「司法書士報酬」と「手間」
司法書士に依頼すると、
- 登録免許税(国に払う税金)
- 戸籍や証明書などの実費
- 司法書士報酬
がかかります。自分で登記をすると、このうち「司法書士報酬」の部分を節約できます。
逆に言えば、登録免許税と実費は、自分でやっても司法書士に頼んでも同じ金額です。ざっくりしたイメージは次のとおりです(物件の価格や難易度で変わります)。
| 項目 | 自分で登記 | 司法書士に依頼 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | かかる | かかる(同じ金額) |
| 戸籍・評価証明書などの実費 | かかる | かかる |
| 司法書士報酬 | 0円 | 数万円〜十数万円程度(内容による) |
| ご自身の時間と手間 | 多い | 少ない |
「時間はかかってもいいから、とにかく出費を減らしたい」という方にとっては、ここが最大のメリットです。
主な登録免許税の税率
| 登記の種類 | 登録免許税 |
|---|---|
| 相続による名義変更 | 不動産の価額(固定資産評価額)の0.4% |
| 売買による名義変更 | 2%(土地は2029年3月31日までに登記を受ければ1.5%) |
| 贈与・財産分与による名義変更 | 2% |
| 住所・氏名の変更登記 | 不動産1個につき1,000円 |
| 抵当権抹消登記 | 不動産1個につき1,000円(同じ申請書で20個を超える場合は2万円) |
相続登記には、価額が100万円以下の土地などについて、2027年3月31日までの登記なら登録免許税がかからない免税措置もあります(法務局:相続登記の登録免許税の免税措置について)。使えるのに気づかず税金を払ってしまうことのないよう、申請前に確認しておきましょう。
建物の売買には、住宅用の建物についての軽減措置などもあり、要件を満たすかどうかで税額が変わります。
自分で登記する主なメリット
① いちばんわかりやすいのは「報酬の節約」
前の章のとおり、司法書士報酬の分を節約できるのが最大のメリットです。
② 手続きの流れや仕組みを「自分の知識」として残せる
自分で登記をすると、
- 登記簿の見方
- 必要書類の種類
- 法務局や市役所での動き方
を、体感として理解できるようになります。一度しっかり経験しておくと、将来ほかの不動産を取得したとき、親の相続が起きたとき、ご自身の生前対策を考えるときなど、次のステップでも役立ちます。
③ 自分のペースで進められる
司法書士に依頼すると、連絡のタイミングや書類のやりとりなど、どうしても「事務所のペース」にあわせる場面が出てきます。
自分でやる場合は、
- 今日は戸籍だけ請求する
- 週末に申請書を書き上げる
- 休みを取れる日にまとめて法務局へ
というように、自分の都合で区切りながら進められるのもメリットです。
自分で登記するデメリットと、失敗しやすい点
メリットだけ見ると「じゃあ自分でやろう」となりがちですが、実務を見ていると、デメリットの方が効いてしまうケースもかなり多いです。
① とにかく「時間と手間」がかかる
自分で登記をされる方からよく聞くのは、「思っていたより役所・法務局に行く回数が多かった」「書類を書き直して、また行くことになった」という声です。
たとえば相続登記なら、
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をすべて集める
- 相続人全員の戸籍・住民票を取得する
- 固定資産評価証明書を取得する
- 遺産分割協議書を作り、全員に押印してもらう
- 登記申請書・添付書類をチェックする
- 法務局に申請し、不備があれば補正に対応する
と、平日の昼間にしか動けない手続きが続きます。お仕事をしながらだと、休みを何日も取ることになったり、結局途中から司法書士に依頼したりするパターンも少なくありません。
② 書類のミスや「登記漏れ」のリスク
よくあるのは、
- 住所や氏名の一文字違い
- 登記事項証明書の地番・家屋番号の写し間違い
- 相続人の一部を戸籍上拾いきれていない
- 私道や共有持分の登記を見落としている
といったミスです。特に私道は、固定資産税がかからず納税通知書に載っていないことがあるため、見落としやすいポイントです。
法務局は記載方法や添付書類の案内はしてくれますが、「もっと有利な方法がありますよ」「その税金の話は大丈夫ですか」までは教えてくれません。
- 「贈与」として登記した結果、高額な贈与税がかかってしまった
- 相談していれば別の登記原因を選べたはずだった
- 登録免許税が非課税で登記できるのに、登録免許税を払ってしまった
というご相談も現場では実際にあります。
③ 法改正・最新ルールを自分で追いかける必要がある
ここ数年、不動産登記を取り巻くルールは大きく変わっています(詳しくは次の章で説明します)。「自分で登記する」ということは、これらのルールを自分で把握し、期限や義務を守っていく責任も自分で負う、ということです。
④ 他の人を巻き込むリスク(共同申請)
売買や贈与などの名義変更は、原則として「登記権利者(買主・もらう人)」と「登記義務者(売主・あげる人)」が共同で申請する仕組みです。自分で登記をすると、
- 売主や他の相続人に書類をお願いする
- 記載ミスがあれば、もう一度協力を求める
必要が出てきます。登記がスムーズにいかないと、売主からの信頼を損ねたり、相続人どうしの感情がこじれたりと、「自分の問題」で済まない場面もあり得ます。
2024年・2026年の義務化をふまえた「今」の注意点
「登記を放っておける時代」ではなくなってきている、というのが大きな流れです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2024年4月1日 | 相続登記の義務化(相続人申告登記もスタート) |
| 2025年4月21日 | 検索用情報の申出の受付スタート |
| 2026年4月1日 | 住所等変更登記の義務化・スマート変更登記(職権による住所等の変更登記)の開始 |
| 2026年10月5日 | 新たに名義人となる方の国籍等の申出が必要に |
相続登記の義務化(2024年4月1日から)
相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります(不動産登記法76条の2、164条1項)。遺産分割で取得した場合は、分割の日から3年以内です。
2024年4月1日より前に開始した相続で、まだ相続登記をしていない不動産も対象となり、原則として2027年3月31日までに申請する必要があります(法務省:相続登記の申請義務化について)。
すぐに相続登記ができないときは「相続人申告登記」
遺産分割の話し合いがまとまらないなど、期限内に相続登記をするのが難しい場合は、「相続人申告登記」という簡単な手続があります(不動産登記法76条の3)。法務局に「相続が始まったこと」と「自分が相続人であること」を申し出る手続で、登録免許税はかからず、オンラインでも申し出ることができます。
ただし、義務を果たしたことになるのは申し出た相続人だけです。また、名義を相続人に移す登記ではないため、売却や担保に入れる場合には、あらためて相続登記が必要になります。
住所等変更登記の義務化(2026年4月1日から)
不動産の名義人の住所や氏名が変わったときは、変更の日から2年以内に変更登記をしなければならなくなりました(不動産登記法76条の5)。正当な理由なく怠ると、5万円以下の過料の対象になります(同法164条2項)。
2026年4月1日より前に住所などが変わっていた場合も対象で、2028年3月31日までに変更登記をする必要があります(法務省:住所等変更登記の義務化について)。
手間を減らす「スマート変更登記」(検索用情報の申出)
あらかじめ法務局に「検索用情報」(氏名・振り仮名・住所・生年月日・メールアドレスなど)を申し出ておくと、住所などが変わったときに、法務局が住基ネットの情報で変更を確認し、職権で住所等の変更登記をしてくれます。これを「スマート変更登記」といいます。
申出は、名義変更の登記と一緒に行うこともできますし、すでに名義人になっている方は単独で申し出ることもできます。単独の申出には登録免許税はかからず、押印や電子署名も不要です。申出をしておけば、その後の住所変更について義務違反に問われることはないとされています。なお、海外にお住まいの方は職権登記の対象外のため、ご自身で申請が必要です(法務省:スマート変更登記)。
自分で登記をするにしても、
- いつまでに何をしないといけないのか
- 相続登記と住所変更登記をどうセットで考えるか
を意識しておくことが、とても大切になってきます。

どんな人・どんな登記なら「自分で」でも現実的?
あくまで目安ですが、実務で見ていて「ここまではご自身でも検討の余地あり」と思うのは、次のようなケースです。
自分で登記することを検討してよさそうなケース
- 住所変更登記、抵当権抹消登記、シンプルな相続登記である
- 不動産の価格がそれほど高額ではない(たとえば数百万円台の土地など)
- 権利関係がシンプルで、相続人が配偶者と子どもだけ
- 平日日中に役所・法務局へ行く時間がある
- 書類作りが嫌いではなく、細かいチェックが苦にならない
- 補正で何度か通う可能性があっても「勉強代」と割り切れる
司法書士に任せた方が安心なケース
逆に、次のようなときは「自分でやる」より「失敗しないこと」を優先した方が良いと感じます。
- 不動産の価格が高額(自宅や投資用不動産など)
- 相続人が多い、再婚・養子などで家族関係が複雑
- すでに相続から時間が経っており、相続人が亡くなっている(数次相続)、戸籍が遠方に散らばっている
- 相続人に未成年者や、認知症などで判断能力が不十分な方がいる
- 権利証や登記識別情報が見当たらない
- 贈与・財産分与・事業用不動産など、税金や将来の売却まで見据える必要がある
- 売買で「決済当日に確実に登記を通す」必要がある
- 農地が含まれている、共有者が多い
- 高齢の親名義の不動産で、将来の介護や施設入所も視野に入れている
このあたりは、「登記の書類を作れるか」ではなく、「全体として損をしないか」で判断するポイントです。
それでも自分で登記するなら:最低限押さえたいコツ
自分でやってみたい、というお気持ちを否定するつもりはまったくありません。チャレンジするなら、次のポイントだけはぜひ押さえておいてください。
- まず法務局の公式情報に目を通す(「不動産登記の申請書様式について」のページから、自分のケースに合う様式と記載例を選ぶ)
- 必要書類のリストを自分で作る(戸籍・住民票・評価証明書など、「誰の」「何を」「どこで」取るのかを紙に書き出してから動く)
- 法務局の「登記手続案内」を早めに予約する(事前に方向性を確認しておくと、無駄足が減ります)
- 期限がある手続き(相続登記・住所変更登記)はスケジュール表を作る(過料の対象になる期限は必ずメモに)
- 不安な部分だけ「部分的に専門家に頼む」選択肢も検討する(戸籍収集や相続関係説明図だけ、申請書のチェックだけ、といったやり方も可能です)
司法書士に依頼するメリットは「登記書類」だけではない
司法書士に頼むメリットは、単に「自分の代わりに申請書を書いてくれる」ということにとどまりません。
- その登記の前後にどんなリスクがあるかを一緒に考える(その贈与で税金はどうなるか、将来売却・住み替えするときに困らないか)
- 相続人や関係者とのコミュニケーションをサポートする
- 登記漏れ・添付書類の取りこぼしを防ぐ
- 今後予定されている相続や介護・成年後見まで含めて設計する
といった、「中身と将来を含めたサポート」こそ、専門家に依頼する大きな意味だと思っています。
よくある質問
- 土地や建物の名義変更は、自分でもできますか?
-
はい、できます。法律上、本人が申請することは認められており、法務局には申請書の様式と記載例も用意されています。住所・氏名の変更、相続、抵当権抹消は比較的進めやすい一方、売買・贈与や権利関係が複雑な場合は、専門家への相談をおすすめします。
- 亡くなった親の土地の名義変更に必要な書類は何ですか?
-
遺産分割で名義を決める場合は、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍と住民票の除票、相続人全員の戸籍と印鑑証明書、遺産分割協議書、不動産を取得する方の住民票、固定資産評価証明書が基本です。遺言の有無や相続人の状況によって変わります。
- 住所変更登記は自分でやっても大丈夫ですか?
-
住所変更登記は、自分でも進めやすい登記の一つです。登記簿上の住所から今の住所までのつながりがわかる住民票(足りなければ戸籍の附票)を用意し、登録免許税は不動産1個につき1,000円です。2026年4月から義務化されているので、2年以内の申請を意識しておきましょう。
- 自分で登記すると、費用はいくら安くなりますか?
-
節約できるのは司法書士報酬の部分です。登録免許税や戸籍などの実費は、自分でやっても司法書士に頼んでも同じです。その代わり、書類集めや法務局とのやりとりにかかる時間と手間は、ご自身で負担することになります。
- 自分で始めてみて難しかった場合、途中から司法書士に頼めますか?
-
はい、途中からでも依頼できます。集めた戸籍や作りかけの書類が役に立つことも多いので、つまずいた段階で遠慮なくご相談ください。
まとめ:お金・時間・リスク、どこにウェイトを置くか
最後に、もう一度シンプルに整理します。
- 住所・氏名の変更、相続、抵当権抹消は、自分でもできることが多い登記
- 売買・贈与、権利証の紛失、数次相続、未成年者や判断能力が不十分な方がいる相続、農地などは、専門家に任せた方が安心
- 登録免許税は自分でも司法書士でも同じ。違うのは報酬と手間
- 相続登記は3年以内(過料10万円以下)、住所等の変更登記は2年以内(過料5万円以下)の義務がある
「多少の手間やリスクは勉強代」と考えられるなら、自分で登記に挑戦するのも一つの選択です。一方で、大きな財産に関わる、ご家族・相続人が多い、失敗したときに取り返しがつきにくい、そんなケースでは、専門家をうまく使った方が、総合的には「安心でお得」になることが多いです。
一度プロの意見を聞いてから「自分でどこまでやるか」を決めるのも、賢いやり方だと思います。シアエスト司法書士・行政書士事務所では、ご自身でできる部分と、専門家に任せた方がいい部分を一緒に切り分けながら、「損をしない登記の進め方」を丁寧にご提案しています。
自分でやってみて「ここから先は難しいな」と感じたら、途中からでもかまいません。西宮北口の当事務所に、いつでも声をかけてください。
不動産の名義変更・抵当権抹消などの登記をお考えの方は、不動産登記のご案内もご覧ください。

